お尻/肛門がかゆい…ムズムズするかも!?
お尻がかゆいと感じたり、ムズムズしたりするようなことを経験したことはありませんか?
お尻や肛門の周辺のかゆみは、デリケートな部分であるだけになかなか他人に相談しづらいかもしれません。
しかし、そのような症状が出る場合、重大な病気が隠れていることもあります。
肛門がかゆくなる可能性のある疾患
肛門のかゆみには病気が関係している場合もあります。
具体的なケースについて解説します。
痔ろう(あな痔)、痔核(いぼ痔)
痔が原因となって肛門にかゆみを生じる場合もあります。
痔の症状としてはかゆみよりも痛みを感じる場合が多いですが、以下の場合はかゆみを生じます。
痔ろうの場合は患部から出る膿によって、いぼ痔の場合はいぼの部分からの出血や粘液によって、周囲の皮膚がただれてかゆみを起こします。
肛門そう痒症(かぶれ・湿疹)・肛門周囲炎
肛門掻痒症は、肛門の周辺で何らかの原因によりかゆみが生じる病気のことを言います。
かゆいからといって必要以上に掻いたり、こすったりすると、皮膚が傷つき、湿疹化します。
痒みのために肛門を入念に洗ったり、トイレットペーパーでこすったりすることで肛門が傷つき、さらに痒みを引き起こすこともあります。
かゆみの原因は、痔核や裂肛・痔ろうなどの痔が原因もの、肛門括約筋の緩みによるもの、ウォシュレットの使用、肛門の拭きすぎ、市販の清浄綿や軟膏、カンジタ菌などの刺激、ぎょう虫症、実際には何も病変がないのにかゆくなる「肛門神経症」など、さまざまです。
このような疾患を「肛門そう掻痒症」や「肛門周囲炎」と言います。
詳しく生活習慣を聞かせていただくことで原因を特定できることもありますので、まずはご相談してください。
ウォシュレット症候群(温水洗浄便座症候群)
温水便座は肛門の周囲を清潔な状態に保つには大変便利なアイテムですが、これを使いすぎると炎症の原因となります。
強い水流で肛門の周囲を長時間洗浄すると、肛門に傷がつく可能性があります。洗浄によって皮膚や粘膜の皮脂や常在菌が洗い流されてしまい、皮膚のバリア機能が失われることによって、慢性的な炎症や湿疹を起こし、かゆみの原因となります。
接触性皮膚炎(かぶれ)
下着や下着を洗う石鹸などが肌に合わない場合、かぶれの原因となります。
また、おむつや生理用品を長い時間使用することにより、汗や尿、経血に接触して蒸れることでかぶれを引き起こすことがあります。
肛門部カンジダ症
膣に生息するカンジダ菌の繁殖によって、肛門の周辺にかゆみの症状を発症させます。
過労や妊娠などで抵抗力が低下しているとカンジダ症が発症しやすくなります。
HPV(ヒトパピローマウイルス)感染
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、多くの人が感染するウイルスで、ウイルス自体にも多くの種類がありますが、その一部にいぼやがんを発症する原因になるものがあり、それが肛門の周囲のかゆみに繋がる場合があります。
肛門神経症
何らかの原因で、肛門のまわりの神経に炎症がおきた状態を、肛門神経症とよびます。
肛門神経症の症状は、痛み、ぴりぴりした感じ、肛門が濡れたような感じ、肛門がくっついた感じなど様々です。
いぼ痔や切れ痔などの肛門疾患に対する治療では効果がないため、特殊な治療が必要となります。
治療は、炎症を抑える消炎鎮痛剤、肛門に対するストレスを除く抗不安剤や抗うつ薬、抗てんかん薬に加えて、バイオフィードバック療法が効果的です。
明け方に肛門がかゆくなる?
肛門のかゆみの原因のひとつに蟯虫(ぎょうちゅう)感染症があります。
大腸や直腸に生息する蟯虫という寄生虫が肛門の周囲に卵を産み付けることによって発症する病気です。
蟯虫は明け方に肛門の周囲に卵を産み付ける性質があるので、明け方にかゆみを生じることもあります。
蟯虫(ぎょうちゅう)感染症
蟯虫(ぎょうちゅう)感染症は、大腸や直腸に寄生する蟯虫(ぎょうちゅう)が肛門の周辺に卵を産み付ける行動をとり、粘着性のある卵と蟯虫が肛門の周囲を動き回ることでかゆみを生じます。
かゆいからといって肛門付近を手で触り、しっかり手を洗わずに食べ物に触れることで感染経路となりますので、注意が必要です。
お尻/肛門のかゆみの予防法
以下にお尻や肛門のかゆみの予防方法をご紹介します。
便通をととのえること
便秘や下痢を繰り返していると、いぼ痔や切れ痔、痔ろうの原因となります。
排便時は息まず、短時間(3〜5分)で終わらせるようにして、排便後はやわらかい紙で軽く拭ってください。
1日1回柔らかい便が出るように、水分をしっかりとる事や、薬で便を整える事も大切です。
お尻の血行促進
お尻の周囲が血行不良になっていると、痔の大きな原因となります。
血行促進のため、お風呂やシャワーをしたり、運動を行ったりしましょう。
仕事などで長時間座った状態が続く時は、クッションなどを利用して負担を和らげるようにしましょう。
かぶれの原因になるものを避ける
下着の素材や石鹸などの成分が肌に合わない時は、使用を控えるようにしましょう。
おむつや生理用品を使用する場合は長時間の使用を避け、小まめに交換するようにしましょう。
バイオフィードバック治療(仙骨神経刺激療法)
肛門神経症・便失禁の治療として、当院ではバイオフィードバック療法を行っています。
仙骨神経刺激療法とは、2014年に保険適用が可能になった新しい治療法です。
背骨の一番下にある骨(仙骨)にあいた穴から出ている神経を仙骨神経と言いますが、その神経に電気刺激を送ることで、肛門括約筋の動きや直腸の知覚の回復を図り、肛門の痒みや便失禁を抑制します。
実際にはガラス棒でできた電極 を肛門内に挿入し、5分間の電気治療を与えて神経の炎症を落ち着かせます。
1回の治療では効果が乏しいので、1週間に2回を3ヶ月程度続けると効果が出てきます。
肛門がかゆい…ムズムズする方は当院へご相談下さい
かゆみの原因にも様々なものがありますが、病気の症状になっているものもありますので、放置することなく、福山市御門町にある藤本外科胃腸科肛門科クリニックまでご相談ください。